東山温泉は会津若松の市街地の外れにある温泉場だった。
バスが幹線道路からひょいと曲がると急に上り坂になり、
その先の狭いところに温泉旅館が密集していた。
バス駅を出ると、宿泊先の旅館はすぐにわかった。
見るからに伝統と格式を誇る老舗旅館であった。
それでこそ温泉旅行の最後の宿泊先に相応しい。
橋を渡るとだぁ〜っと宿の男衆が出てきてお出迎え。
案内された部屋は12畳半の純和室。
ところで、ずっと不思議に思っていることがある。
TVの旅とグルメのお気楽番組なんかで、宿の紹介がある。
で、タレント・レポーター等が部屋に案内されるときに
「失礼します」とかいって自分たちが当日宿泊する部屋に
入るのだが、なんだか違和感がある。
だって、宿泊客が借りた部屋なんだぜ?
その部屋の主は宿泊客ではないか。
だから、もっと堂々としていればいいのだ。
さて、温泉。
その宿の温泉は「きつね湯」と「さるの湯」と、
それから小さな家族風呂が3つ。
宿泊客は他にも数組いるようなのだが、
一度も一緒になることはなく、ずっと貸し切り独占状態で
ゆっくりとつかることができた。
それから、バスタオルは脱衣場備え付けで使い放題。
これは非常にポイントが高い。
飯は部屋で食える。
最近は「お食事処」を設けて、そこで食わせる宿も多い
そうだが、やはり部屋で落ちついて食えるのはいい。
出てきた料理は材料も調理法も会津にこだわったもので、
京風懐石でもなければ解凍ズワイガニでもない!!!
これは非常に素晴らしいことである。
味付けもいい。無茶で不自然な味付けがない。
会津の伝統食「鰊の山椒漬」

岩魚のお造り

鯉の甘煮

鱗ごと炊いてあるのだが、鱗まで美味。
妻には鯉の代わりを頼んでおいたところ「棒鱈の炊いたん」が
出てきた。棒鱈も会津の伝統食ということだ。
なるほど、あちこちの土産物屋には棒鱈の炊いたんがあったが、
みんなスケソウダラなのでがっかりしていたところ、この旅館の
ものは真鱈の棒鱈だった。そら棒鱈ゆぅたら真鱈ですやろぉ〜
さすが老舗旅館。
夕食の後は、温泉に入り、寝るだけである。
朝風呂に入って、朝飯。
例の「打ち豆」の味噌汁が出た。
ここで不要となった旅装は宅急便で送る。
若女将、男衆、部屋付の仲居さんに見送られてチェックアウト。
宿のすぐ近くにある老舗の羊羹屋で、名物の水羊羹を買い、
バスに乗って市街地へ。
「郵便局前」というバス停で降りて、最終日の買い物へGO。
漆器屋で「手塩皿」を購入。

これは「こづゆ」が盛られていた漆器の小さな浅い椀である。
湯野上温泉でも若松1泊目の郷土料理屋的居酒屋でも出てきた
「こづゆ」が盛られている漆器の器は、大きさも程よく、
使い勝手が良さそうなので、欲しくなったのだ。
そこで郷土料理屋の女将に、これはなんといって買い求めたら
よいのかと聞いたら、「手塩皿」と教えてくれたのだった。
ところで、「手塩皿」は「おてしょう」とも言うそうで、
それなら関西でも年寄りは「おてしょう」と呼ぶ人がいると
いう話になった。
「手塩皿」は日常的に使う雑器だが、樹脂製でもウレタン塗装
でもなく、木を挽いて漆を塗ったものでも安いのがあった。
だが、せっかく買って帰るのだからと少しいいものを探したら、
なかなかよさそうなものがあったので購入。
昼飯は『満田屋』という「味噌田楽」の有名店で軽く。
『満田屋』は、本来は味噌屋ということだが、今では
田楽屋としても盛業だという。
我々が店に入った11時過ぎには客はいなかったが、
それからは個人客やら団体さんが次々に入ってきて大忙し。
味噌田楽のセットが1,050円。酒は甘口、辛口、清酒、
濁り酒のなかから好みのが選べて一杯320円だった筈。
味噌田楽の味もよく、軽く食べるにはいい店だと思った。
他、『会津ブランド館』と『七日町カフェ』で、
買い忘れがないかチェック。
会津若松駅に向かう。
(続く)

