一手間かけた「ホウレンソウのお浸し」

ようやくホウレンソウや小松菜といった菜っ葉の
類の値段も落ち着いてきたようで、
やはり1把で100円程度でないと買う気がしない。
それにホウレンソウは寒くなってからが美味い。

というわけで、

hourensou_ohitasi_00.jpg

今日はホウレンソウのお浸しをネタにしたいと思います。

ホウレンソウのお浸しは、教科書的なありふれた料理ですが、
こういう料理にこそ手間も暇もかけて気合いを込めて作るべき
だと僕は確信します。

ところで、ホウレンソウのお浸しと言っても色々あるようで、
茹でて絞って醤油かけて削り節をトッピングしただけのものも
ホウレンソウのお浸しという向きもあるようだ。
確かにこの食い方も美味い。

だが、僕としては、それを「お浸し」と呼ぶ以上は、
だし汁に浸して漬けたものこそをお浸しと呼びたい。
では、茹でて醤油をかけて削り節をトッピングした
ものは何と呼ぶかというと、それは

 「ホウレンソウを茹でて醤油かけて削り節をかけたん」

と呼べばいいのである。
説明的ネーミングではあるが、かかるネーミングなら
フレンチにも幾らでもあるではないか!
だからこれでいいのだ。

さて、我が家の、つまり『割烹政』のホウレンソウの
お浸しの作り方は次のようである。
ちょっと手間がかかるように見えるかもしれないが、
ずっとこうしているから、これが当然になっている。

「ホウレンソウのお浸し」の作り方

一 ホウレンソウを洗って茹でる

まず、ホウレンソウを洗わねばならないが、
ホウレンソウの軸の付け根は入り組んでいる。
それは、土や砂をくわえ込み易いにもかかわらず、
同時に洗いにくいということである。
そこで、徹底的に洗わねばならない。
砂を「ジャリ!」と噛むのは、造りの小骨や下手糞な
骨切りにも比肩しうる、料理における大罪であろう。
それに、ホウレンソウは芯が特に美味い。
ホウレンソウの芯だけを集めて食うのは最高である。
だから尚更、徹底的に洗って美味く食いたいではないか。

ところで、ホウレンソウの茹で方は軸から茹でるという
のが基本であるが、その趣旨は何かというと、
軸は葉より火が通りにくいから先に茹でて、
後から葉を沸騰水中に投じることにより、
その時間差で火の通りを均一化せしめる点にある。
ところが、ホウレンソウの軸の長さは一定ではない。
外の方の大きな長い軸を茹でることは、即ち同時に
中心部に近い軸の短い若い葉も茹でるということである。
これでは、柔らかい若い葉が過分に茹でられることに
なるので、「茹で加減を均一化する」というそもそもの
趣旨に反する結果となる。

そこで、私が採る方法は次のようである。

1. ホウレンソウを洗う

先ず、軸をばらす。
こうすれば軸の付け根の土がこびりつきやすい部分も、
中心部の芯部分も容易に洗うことが出来る。
そして軸の太さと長さで分類し、輪ゴムで束ねておく。

hourensou_ohitasi_01.jpg


尚、ホウレンソウを購入してきたら、この段階まで処理し
保存しておくと便利である。僕はそのようにしている。


2. ホウレンソウを茹でる

先ず、大きな鍋に水をたっぷりわかす。
そして塩を入れる。塩の量に関しては色々あるようだが、
ひとつまみでは無意味であろう。僕はパスタを茹でる
程度の塩を入れる。
ところで、青菜を茹でるに際して湯に塩を加える理由の
ひとつに「塩を加えて沸点を高める」という説明があるが、
これに関して僕は非常に非常に懐疑的である。
ホウレンソウを茹でる程度の塩加減では、沸点は1度も
あがらないであろう。水のモル沸点上昇はたったの0.52
なのだから。

さて、ホウレンソウに限らず、青菜を茹でることにおける
最大のコツは、常に湯が沸騰した状態で茹でるという
ことであろう。
ということは、当然に1回あたりのホウレンソウ投入量は
制限される。即ち、何度かに分けて茹でることになる。
つまり、少しずつ小分けにして茹でるのが原則である。

当然、我が家流では、既に軸の大きさにより分類されて
いるので、同一グループ毎を、更に小分けにして茹でる
ことになる。
勿論、軸から入れる。軸を入れて、しばらく沸騰水中で
ゆらゆらさせてから、全体を投入する。
箸で沸騰水中に全部が沈むようにして茹でる。

尚、1回あたりの投入量は、鍋の大きさ、湯の量、
コンロの火力によって異なるのは当然である。
更に、軸の太さ長さによって分類して束ねる段階で、
茹でるときのことを考えて作業を行わねばならない。

茹でる時間はホウレンソウによって当然に個体差がある。
それに、各人、各家庭によって茹で加減には好みがある。
故に茹で加減を時間で指定する様なことは出来ない筈である。
だから、軸を1本試しに茹でて試食して、加減を見ればいい。

茹であがったら、直ちに冷水にとって、水にさらす。
これはホウレンソウのアクを抜くためであるが、
アクの抜け加減は試食して試せばいい。

アク抜きの時間に関してはケンケンガクガク百家争鳴である。

この点に関して、僕の主張はこれや!!

水につけすぎると流れてしまう栄養分もあるやろけど、
それは他のもんで補ったらええんとちゃいまっか?
だいたいやね、
アクで口の中が、歯茎がキシキシするようなもん食べて
美味しいでっか?

お浸しにするならしっかりアクを抜くのが基本であって、
茹で上がりを試食してみてアク抜きの必要がないと
判断したら、それはする必要がないということである。

茹で上がりを水に取ったのを試食して決めるべきである。
時間で決めるものではあるまい。
結果的に10分とか30分になってもかまわない。

二 地に漬ける

1. 地を用意する。「地」とは漬け汁のことだ。
地は昆布と鰹節の基本の出汁に、塩、淡口醤油で調味し、
そこへおまじない程度の味醂を加えて加減したもの。
味加減は、出来上がりを予想して濃いめに。
何度も作って体得するしかない。
一度煮立てて、鍋ごと冷水につけて冷ますこと。
二度漬けするので、地は多目に用意しておくこと。

ホウレンソウの水を絞って地に漬ける

長いまま絞って漬ければ、盛りつけに際して綺麗に切り揃えて
端正に盛りつけることが出来るが、地が過分に必要なので、
家庭ではちょっと贅沢に過ぎる気もする。
もっとも、これは個々人各家庭が判断すべきことである。
僕は、家庭料理の経済性という観点から、目的の長さに
切りそろえたものを絞って地に漬ける。

切りそろえたホウレンソウをぎゅっと絞って、
ボールに入れ、地をひたひたに注いで、
ホウレンソウを軽くほぐす。
ラップで覆ってしばらく待つ。

hourensou_ohitasi_02.jpg

10分~30分程度。厳密なことは知らん。

地から引き上げて、絞る。

hourensou_ohitasi_03.jpg


古い地を捨てて、新しい地で漬け直す。

hourensou_ohitasi_04.jpg

しばらく漬けて、出来上がり。

晩飯に作って、翌日くらいまでは持つ。
これからの季節、妻の弁当にも比較的頻繁に投入される。

保存最長期間は・・・各自の鼻と舌と腹で決めるべき問題。



一手間かけたホウレンソウのお浸し、
興味を持たれた方はお試し下さい。
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